ナスの揚げ浸し
No.647 2025年9月1日配信
とろっとろの揚げたナスの身を口に含めば、ジュワッと溢れ出すナスの旨味と和風の出汁。この夏、私が家人に3回もリクエストした料理は「ナスの揚げ浸し」です。油で揚げられ、艶々と光りを放つ紫色がなんとも魅惑的です。「切れ目」が入った皮目がなんともいえぬ風情で、それを見るだけで「パブロフの犬」のように、条件反射的に唾液腺が緩んでしまいます。
以前はナスが油を吸いすぎて、揚げ加減が難しいと我が家人は嘆いていました。しかし、私がたびたびリクエストをするので、いつの間にか油っぽすぎる「ナスの揚げ浸し」は食卓に上がらなくなりました。ある有名出汁メーカーのレシピを参考にしたらしく、170度の温度で皮目の方から油に入れて約1分、裏返して約1分が揚げる目安なのだとか。おかげで私も大満足。
ご存知のようにナスは夏野菜ですが、秋に入って朝晩冷え込むようになると実に栄養分を効率的に蓄えるようになり、より美味しくなります。昔から「秋ナスは嫁に食わすな」とか、謎めいた諺が知られていますが、こんなに美味しい秋ナスを嫁に食べさせるなんてという姑の意地悪説。ナスは体を冷やすので、子供を産む女性(嫁)のことを気遣ってという説などありますが…。
なんといっても「ナスの揚げ浸し」は伝承かめ壷造り・本格芋焼酎「幸蔵」との相性が良すぎるので、ついついペロッと食べ尽くしてしまいます。私の場合、たくさん作ってくれても、すぐになくなってしまうので、嫁に多く食べられるのが嫌なだけです。食欲の秋は聖人(?)のような私の性格さえも意地汚くさせてくれます。まさに「秋ナスは嫁に食わすな」です。